右下の●メガネのおじさん、かなりマニアな人であれば知っているかもしれません。アメリカの総合格闘技界では有名なトレーナーであり、今でも数多くのUFCファイターを指導している人です。
チャック・リデルの先生であり、「鬼の黒崎」先生の弟子です。
写真はチャックがプライドに参戦した時に撮ったものですが、この部屋はチャック・リデル一人の為に用意された部屋です。奥がベッドルームで、撮影しているこの部屋もかなりの広さでした。
この時自分はまだギリギリ20代ですから若く、ガンガン練習していたので細いです。
ハックルマンが着ているのは当時のRBのタンクトップです。数ケ月前に贈ったものですが、気に入っていた様でこの時も着ていました。正確に言うと、この時は丸二日着ていました。
初対面の時、「自分は黒崎先生の弟子だ。先生は元気か? 会う事は出来ないだろうか?」と、夢中で話して来ました。
自分は黒崎先生に電話をしてセッティングを試みましたが、ハックルマンもトレーナーとして来日しているので暇がなく、再会は実現しませんでした。
自分はこの時黒崎先生とお話をさせて頂いたのですが、物静かで落ち着いた話し方でしたが、物凄い迫力を感じました。電話ながらに少し慌ててしまった事を覚えています。自分にとっても黒崎先生は憧れの人だったという事もありますが。
ハックルマンは「おっさん」って表現がぴったりの、すごくユニークな人です。タンクトップをあげただけなのですが、エレベーターで会ったブラジリアントップチームの首領であるマリオスペーヒーに、レストランでアントニオノゲイラ選手に「俺はRBアカデミーの紫帯なんだ」と、勝手な事を自慢げに話してました。
食事に行くため皆で歩いていると、輪からそっと抜け出し一人で電柱の陰に隠れていました。いつもの事の様で、皆は無視して歩いていましたが、50メートル程離れると「なんで無視するんだ!!」と、我慢しきれずに電柱の陰から走り出して来ました。
コンビニで買ったトウモロコシのおつまみを食べようとして開けた瞬間、力を入れ過ぎて飛び出したコーンが自分に降りかかり、びっくりしながら「クレイジーコーン‼」と言っていました。日本人が言う「生きてる‼」ってやつです。これは結構ツボに入って爆笑しました。「外人も言うのかよ」と。
チャックとハックルマンのミット打ちは独特でした。恐らくは対戦相手の研究をした上でのもので、手数でもなく、強くもなく、タイミングを取っただけの、単発のものでした。
そして対戦相手を完全コピーしたジョンルイス先生とスパーリング。これがまた見事で、相手は組み付いてから何歩か前に出た時にスピードとパワーが一時途切れる。そこまで逆らわずに一緒に下がり、途切れた瞬間に脇を差し替え、膝を入れて突き放す。こういったシュミレーションを徹底的にしていました。
練習はシャドーで締めくくりました。このシャドーの時にハックルマンが最も大事にしていたのが、一瞬たりとも顎が上がらないようにする事でした。決してフォームは良くない、打つときに平気で体を開くチャックですが、顎は滅多に上がりません。
世界レベルの練習風景でした。
ちなみにハックルマンのあだ名は「Pit Master」、喧嘩の先生です。